ウポポイについて
背景・目的
アイヌ文化の振興や普及啓発は、伝承者の減少、アイヌ語や伝統工芸など存立の危機にある分野の存在、また、未だなおアイヌの歴史や文化等について十分な理解が得られていないといった課題に直面しています。このような背景を踏まえ、平成21年7月、「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長:内閣官房長官)において、民族共生象徴空間はアイヌの人々が先住民族であるとの認識に基づきアイヌ政策の「扇の要」として提言されました。 ウポポイ(民族共生象徴空間)は、アイヌ文化を振興するための空間や施設であるだけではなく、我が国の貴重な文化でありながら存立の危機にあるアイヌ文化の復興・創造等の拠点として、また、将来に向けて先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴として位置づけられています。
機能
アイヌの歴史・文化を学び伝えるナショナルセンターとして、長い歴史と自然の中で培われてきたアイヌ文化をさまざまな角度から伝承・共有するとともに、人々が互いに尊重し共生する社会のシンボルとして、また、国内外、世代を問わず、アイヌの世界観、自然観等を学ぶことができるよう、必要な機能を備えた空間です。
【ウポポイに求められる機能】
1. 展示・調査研究機能 2. 文化伝承・人材育成機能 3. 体験交流機能 4. 情報発信機能 5. 公園機能 6. 精神文化尊重機能
沿革
平成19年9月 | 国連総会で「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択(日本も賛成) |
平成20年6月 | 衆参両院において「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が全会一致で採択 |
平成21年7月 | 「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」報告において「民族共生の象徴となる空間」の整備を提言 |
平成26年6月 | 「『民族共生の象徴となる空間』の整備及び管理運営に関する基本方針」閣議決定。民族共生象徴空間が北海道白老郡白老町へ整備されることが決定 |
平成29年6月 | 「『民族共生象徴空間』の整備及び管理運営に関する基本方針」の一部変更を閣議決定。運営主体を「公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構」に指定 |
平成30年4月 | 「公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構」と「一般財団法人アイヌ民族博物館」が合併し、「公益財団法人アイヌ民族文化財団」に名称変更 |
平成30年12月 | 民族共生象徴空間の愛称が一般投票により「ウポポイ」に決定 |
令和2年7月12日 | 一般公開 |
ウポポイロゴマークコンセプト
- ポロト湖周辺の自然景観(山並みや湖)をイメージ。また、アイヌのものづくりの極みのひとつである、男性が正装時に身につける儀礼用の太刀を下げるための帯(エムㇱアッ)の文様をイメージ。
- メインカラーとして、伝統的なアイヌの服飾に用いられることも多い、紺と赤を採用。
- 下の縦線の本数は、アイヌ語で「たくさん」を表わす表現にも用いられる数「6」とし、多くの人々が集うことをイメージ。
国立アイヌ民族博物館ロゴマークコンセプト
- 伝統的なアイヌの家屋における屋根を支える構造のひとつである三脚(ケトゥンニ)をイメージ。アイヌ文化の復興、新たな文化の創造を「支える」イメージ。
- メインカラーとして、伝統的なアイヌの服飾に用いられることも多い、紺と赤を採用。
- 下の縦線の本数は、アイヌ語で「たくさん」を表わす表現にも用いられる数「6」とし、多くの人々が 集うことをイメージ。博物館の基本展示を構成するテーマ展示の数「6」とも合致。
指定法人
パンフレット
レイシャル・ハラスメント対策
公益財団法人アイヌ民族文化財団が、レイシャル・ハラスメントは許さない」との信念のもと、レイシャル・ハラスメントにあたる行為に対して毅然として対応するとともに、アイヌ文化の振興、アイヌの伝統等に関する知識の普及・啓発などの活動を通じ、多様な価値観が共生し、アイヌ民族の誇りが尊重される共生社会、すなわち差別のない社会の実現を目指すことを宣言するものです。
(「ウアイヌコㇿ」とは、アイヌ語で「尊敬しあう」という意味です。)