ウポポイスタッフインタビュー

アイヌ文化を伝える、私たちの想い isoytak イソイタㇰ

言葉

「アイヌ」に込められた想い

文化振興部体験教育課
ケニ

「アイヌ」に込められた想い

取材・撮影(2022年3月)

アイヌ語担当として体験プログラムの構築等を行い、言葉を通してアイヌ文化を伝承する
〈ケニさん〉にお話を伺いました。

毎月1日に行われる「月例カムイノミ」。人々が生活する上で必要なことをカムイに祈る儀式 
※カムイ:人間の周りに存在するさまざまな生き物や事象のうち人間にとって重要な働きをするもの、強い影響があるもの

「アイヌ」の言葉を学び、伝え、次の世代につなぐ

アイヌの言葉に興味を持ったきっかけ

子どものころは、自分の廻りにアイヌ文化があることをあまり理解していませんでした。一度はアイヌ文化と関係のない仕事に就きましたが、父の勧めもあり、ウポポイの前身「旧アイヌ民族博物館 (しらおいポロトコタン)で伝承者(担い手)育成事業※に参加しました。 アイヌ文化を学ぶうちに、自分の育った環境にはごく自然にアイヌ文化があったことに初めて気が付きました。アイヌ文化を学ぶ中でも 特にアイヌ語に興味を持ちました。 自分のアイデンティティであるアイヌ語で話すことが楽しいと感じたことと、研修の一環でニュージーランドへ行き、先住民族マオリの言語復興の先行事例を学んだことで、自分たちの言葉で自分たちの文化を伝えたいという思いが強くなったのです。 その後は研修以外でもアイヌ語を学び続け、現在は地元のアイヌ語入門講座の講師も務めさせていただき、大人も子供も学びに来てくれています。ウポポイでは、ビンゴゲームなどで楽しくアイヌ語を学ぶ体験プログラムの他、ペーパークラフトでアイヌ語を学ぶカードゲームの開発なども行っています。アイヌ語の単語をひとつでも覚え、興味を持ってもらえるきっかけを作りたいと日々試行錯誤しています。

※伝承者(担い手)育成事業:「伝統的生活空間(イオル)再生事業」の一環としてアイヌ文化の保存、継承、発展を図るうえでアイヌ民族・文化に関する総合的な知識・技術・技能を身につけ、アイヌ文化を根底から支える総合的な人材(伝承者)を育成する事業。平成20年度より3年間を一期としてアイヌ語・衣・食・住・信仰・儀礼・工芸・芸能・教材開発など多岐にわたる研修が実施されている。

口承文芸実演 「ネウサㇻアン ロ」では日々の暮らしの中で語られてきた物語や叙情歌などを実演

各地のアイヌ文化を伝えるウポポイ

どのように伝承しているか

アイヌは口伝えで文化を伝えてきましたが、今の世代は直接教わる機会が限られています。そのため、自分たちで古い音声資料を聞き起こしたり、辞書や文献など様々な資料を読んで学ぶこともあります。 例えばアイヌ語にも方言があります。挨拶の言葉の「イランカラㇷ゚テ」も方言のひとつなんです。 定着しつつある言葉でも昔と今では使われ方が変化していることを知ってもらうために、 ウポポイではひとつの言葉を掘り下げて伝えるプログラムも始めました。各プログラム内で扱う単語はウポポイの園内でも見つけることができます。ウポポイに来園いただいた時だけで終わってしまうのではなく、ひとつでも覚えたアイヌ語を日々の暮らしの中で使ってほしいと思っていますので、参加者にはアイヌ語が書かれたシールをプレゼントしたり、参加した後も振り返ることが出来る工夫をしています。 ウポポイはいわゆる「テーマパーク」ではありませんので、 遊びの中にいかに学びをつくるかを常に考えてプログラム構築をしています。地元白老の子どもたちには、もっと気軽に遊びに来てもらいたいですね。私が幼いころにアイヌ文化に触れていたように、日常にアイヌ文化があることで、10年後にはウポポイで働きたいという人が増えてくれることを願っています。

2021年に開発したアイヌ語のカードゲーム。下記よりダウンロードいただけます。
https://upopoy-magazine.jp/papercraft/

互いを尊敬し、共生する社会を目指して

大事にしていきたいと考えているアイヌの言葉は?

「アイヌ」「アイヌコㇿ」という言葉です。「アイヌコㇿ」は「尊敬する」という意味があります。 尊敬される人には名前に「アイヌ」がつくこともあります。 ウポポイではアイヌ語も公用語とし、 伝承だけではなく新語表現の取り組みも行ってます。その中のひとつで、ウポポイの正式名称「民族共生象徴空間」のアイヌ語は「ウアイヌコㇿ コタン」としました。 ウアイヌコㇿ uaynukor「互いを敬う、敬い合う」、コタン kotan「集落、村」とし、多様な民族が互いに尊敬し共生する場所という想いを込めています。「アイヌ」 という言葉がアイヌにとって特別な言葉であるということもぜひ知ってもらいたいです。
「言葉」を通じてアイヌ文化を伝え、互いに尊敬し共生する社会を目指していきたいと考えています。

アイヌ文化を伝える、私達の思い

isoytak イソイタㇰ

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ウポポイスタッフインタビュー

【ポンレ】 ケニ

北海道白老町出身でアイヌの家庭で育つ。就職で新潟に行くが、父の勧めで、ウポポイの前身「旧アイヌ民族博物館(しらおいポロトコタン)」において実施されたアイヌ文化伝承者育成事業に3年間参加。地元のアイヌ語入門講座の講師としても活動。2019年4月から公益財団法人アイヌ民族文化財団に所属。ウポポイではアイヌ語担当としてプログラムの構築や運営を行っている。

ポンレ=アイヌ語のニックネーム
アイヌ語で、「地面から出る花・植物の芽」の意。
これから伸びていく、前向きなイメージを込めている

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